令和8年度(2026年度)税制改正大綱で、インボイス制度に関する新たな経過措置「3割特例」の創設が決定しました。2割特例の終了後、個人事業主の負担をさらに緩和する制度です。本記事では、3割特例の内容を詳しく解説します。

3割特例の概要

3割特例は、インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業主を対象に、消費税の納税額を売上税額の30%に軽減する経過措置です。

2割特例(売上税額の20%)の後継となる制度で、負担率は上がるものの、原則課税や簡易課税よりも有利になるケースが多い仕組みです。

対象者

3割特例の対象者は以下の条件をすべて満たす方です。

  • 個人事業主であること(法人は対象外)
  • インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった方
  • 基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であること

法人は対象外となるため、法人のインボイス発行事業者は2割特例終了後、原則課税か簡易課税を選択する必要があります。

適用期間

3割特例の適用期間は以下のとおりです。

  • 開始:2026年10月1日を含む課税期間から
  • 終了:2028年12月31日を含む課税期間まで

個人事業主の場合、課税期間は1月〜12月の暦年です。実質的に2026年分(令和8年分)〜2028年分(令和10年分)の3年間が対象になります。

ただし、2026年分については1月〜9月が2割特例の対象期間、10月〜12月が3割特例の対象期間となり、年間の納税額は按分計算を行う形になります。

計算方法

3割特例の計算は非常にシンプルです。

納税額 = 売上にかかる消費税 × 30%

例えば、年間売上770万円(税込)の場合:

  • 売上にかかる消費税:70万円
  • 納税額:70万円 × 30% = 21万円

同じ条件で2割特例なら14万円、原則課税(仕入率30%の場合)なら49万円となるため、3割特例は依然として有利な制度と言えます。

届出は不要

3割特例は、2割特例と同様に届出書の提出は不要です。確定申告の際に、3割特例を適用するかどうかを選択するだけで利用できます。

原則課税や簡易課税と比較して有利な方を、申告時に判断することが可能です。

2割特例との違い

項目 2割特例 3割特例
納税額売上税額の20%売上税額の30%
対象個人・法人個人事業主のみ
適用期間2023年10月〜2026年9月2026年10月〜2028年12月
届出不要不要
基準期間売上1,000万円以下1,000万円以下

3割特例が終了した後は?

3割特例は2028年12月末で終了予定です。終了後は以下の選択肢になります。

  1. 原則課税:実額で仕入税額控除を計算
  2. 簡易課税:みなし仕入率で計算(届出が必要)
  3. 免税事業者に戻る:登録取消届出書を提出

3割特例の適用期間中に、終了後の方針を決めて必要な届出を済ませておくことが重要です。特に簡易課税を選ぶ場合は、届出書の提出期限に注意してください。

※本記事は2026年2月時点の情報に基づいています。令和8年度税制改正大綱の内容を反映していますが、国会での審議により内容が変更される可能性があります。